夜のラブレター

今までの人生で、いわゆるラブレターを書いたことが、多分3回くらいある。 偉いことに、どのラブレターも相手に渡すことができて、 幸いなことに、どの相手からも返事が返ってきた。

書いている時には、ドキドキする文章。
次の日に読み返すと、恥ずかしくなる文章。
そして、10年後にふと懐かしく思い返す文章。

そういう心が動かされる文章はだいたい夜、それも午前0時を回った頃に書かれるのが、古来からの決まり事のように思われる。 幸いにも、もうラブレターを書く必要はなくなったのだけれど、午前0時を回ると、ふと当時の気持ちが生まれてくる。 そんなわけで、「心動かされるソースコード」について、思うところを書いてみました。

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ソースコードっていうのは、いわゆるプログラムのこと。 そんなものに心を動かされるのか、と疑問を持つ人も当然いると思います。 でも、今まで確かに、幾つかのソースコードに心動かされたことはあるのです。 その衝動は、幾何学の問題に引かれたたった一本の補助線に、相通じるところがあります。

ここからすごい具体的な話になるのですが、Z80というマシン語のコードがあります。 例えば、Aレジスタという入れ物に0を代入したい時、このような命令が用意されています。

"LD A,0" (7ステート、2バイト)

LDはLoadの略で、"Aに0をロードする"みたいに読み下します。 しかし、0を代入する時に限り、次の命令を代わりに使うことができます。

"XOR A" (4ステート、1バイト)

XORは、Aレジスタとの排他的論理和をとる命令です。 代入用の命令ではないのに、代入ができてしまう。 しかも速度がほぼ2倍になり、サイズはほぼ1/2になる。 若干の副作用があるので常に置き換えられるとは限らないのですが、「すごい」「使ってみたい」と子供心をくすぐる、たった一行のコードでした。

その後、ソースコードを書くことを仕事にする中で、いろいろなコードに出会ってきました。

"再帰"、"Visitorパターン"、"クイックソート"、"リンクリスト"、"二分木"、...

どのコードも初めて触れて、そして理解した時には、感動、くやしさ、憧れ、その他さまざまな感情が湧き起こりました。 共通するのは「知らなければ不恰好でひどく長いコードが、知ることによってエレガントで簡潔なコードになること」 これでなかったのではないかと、そう思います。 いい文章を書こうと思ったら、過去の名文を徹底的に読むこと。 そういう精神で、これからも新しいコードを発見し、今の不恰好なソースコードを改善できればいいのではないか。

そんな風に感じたところで、そろそろ睡魔が襲ってきました。 続きはブログではなく、ソースコードで書きたいと思います。 プログラマの人、一緒にエレガントなソースコードを目指して、頑張りましょう。

オブジェクト指向について

最近ネット界隈で、「オブジェクト指向は必要か」という議論が盛り上がっています。自分も便乗して、意見表明しておこうと思います。

 

オブジェクト指向は便利です

結論から言うと「現在のところ、オブジェクト指向は設計、実装、単体テストを包括的にサポートすることのできる唯一の手法なので、積極的に利用するべき」ということです。例えば、設計にはUML、実装には各種OO言語、単体テストはxUnit(あるいはそのクローン)が揃っています。システム開発を一貫して一つの概念で押し通せるので、とても便利に感じています。個別のフェーズでは、例えばOOで設計するのかDOAで設計するのか、OO言語で実装するのか関数型言語で実装するのかなどといった選択肢はあります。それぞれの箇所では他の手法に負けるかもしれませんが、総合的なバランスにはオブジェクト指向に一日の長がありそうです。

 

オブジェクト指向に反対する人の意見への反論

オブジェクト指向を疑問視する人の声には「HTTPやDBの仕組みにオブジェクト指向はなじまない(インピーダンスミスマッチ)」や「オブジェクト指向は初心者には難しすぎる」といった批判があります。一理ありますが、一つダメなので全てダメ、という極論に感じるところもあります。

「HTTPやDBとのインピーダンスミスマッチ」については、レトロなWeb開発にしか当てはまらない意見に感じます。少なくともGUIアプリやネイティブスマフォアプリなら、オブジェクト指向を完全に使えるでしょう。さらに最近のWebアプリはクライアント側にjavascriptでプログラムを書ける時代なので、クライアント(つまりブラウザ)をステートフルなものとみなせます。なのでオブジェクト指向の考え方が可能です。DBについては、O/Rマッパーを適切に使い、苦手な箇所だけstaticなメソッドを持つクラスを用意して処理を局所化すれば、十分オブジェクト指向の恩恵をうけることができます。

「初心者に難しい」は確かに当てはまります。だからといって使わせないのは「LINEは危ないらしいけどよくわからないから、夜10時以降は使ってはいけない」というお触れと同レベルに思考停止だと思います。初心者は確かに、オブジェクト指向に則ったプログラムを0から実装することはできないかもしれません。しかし適切に設計されたフレームワークによって、オブジェクト指向に則ったプログラムへと導くことは可能です。さらに、そのようなフレームワークを利用することでオブジェクト指向の考え方やスキルが身につき、初心者から脱却することができます。

 

■ 最後に

オブジェクト指向は、決して万能な手法ではありません。しかし設計、実装、単体テストといった幅広いフェーズに対応する全体最適解と思われます。現在のメジャーな言語の殆どがオブジェクト指向をベースにしていることを考えても、オブジェクト指向をしっかり身に付けることはとても重要かつ有用なことだと思います。

ケアシェアのアンケートにご協力下さい

知り合いで高校の先輩のお医者さんと、地域の在宅医療をITで解決できないかと考えています。もしご興味ありましたら、下記のアンケートにご協力いただけないでしょうか? 5分くらいで終わる簡単なものです。よろしくお願いします。

「支援・介護に関するアンケート」

http://goo.gl/2sPQ7c

Startup Weekend For Games Nagoyaに参加してきた(プレゼン〜パーティ)

Startup Weekend For Games Nagoya プレゼン〜パーティ

これは、Startup Weekend For Games Nagoyaに参加した三日目のプレゼン〜パーティに関するブログです。前日までの内容は以下のURLを御覧ください。

ここまでのあらすじ

扉守りに導かれ、期せずして出会った三人の勇者。カードとボードに遮られた闇のトンネルを抜け出した彼らは、魔法と少女であふれる世界に到達する。「作る者」と「愛でる者」の双方が、試練を超えるための手がかりを三人に与えた。そして数多の「賢き者達」の言霊を紡ぎ合わせ、ついに伝説の「ももいろみるくちょこ」を作り上げたのだ。勇者達よ、最後の戦いは近い。彼らに幸あらん事を!

プレゼン準備

写真: 今から最終プレゼンテーションご始まります。#swnagoya

発表順は、ちょっとしたゲームで決める事になりました。即興で決まったルールは次の通り。

  • 1〜100からすきな数字を各チームで選ぶ(相手チームには分からない)
  • 小さい数字を選んだチームから発表順を決められる
  • ただし最も小さな数字を選んだチームはドボンとなり、選択権はなくなる

ちょっとした駆け引きが、ゲームがテーマのStartup Weekendイベントを盛り上げます。プレゼンを作る中で、チーム名は「CC Platform」にしました。CreatorとConsumerの頭文字を取っています。CC Platform社の発表順は、5チーム中4番目。デザイナーが遅れて合流する事情があったので、なかなかの好位置です。

各チームの発表がありますが、正直自分の発表がどのようになるのかばかりを考えていたので、あまり集中して聞く事はできませんでした。その他のチームのみなさま、ごめんなさい。そしていよいよ自分たちのチームの出番です。

プレゼン中

写真: 4組目「ももいろミルクチョコ」。#swnagoya

プレゼンのやり方は人それぞれですが、堂々としてないとだめなことだけはわかります。発表している時は頑張って前を向いて発表していたつもりですが、この写真が正しければ結構下を向いているんだなと、反省仕切りです。多分、発表者が手元のリモコンでプレゼンを操作するスタイル自身がよくないのでしょう。たった今わかった、反省点です。

それにしても、プレゼン中はできないことでもできるというくらいの気持ちで臨まないといけないのに、やはりどこかでハッカーの嗅覚が残ってしまうものです。ジャッジのお一人からのゲームバランスに関する質問には、「なんとかなるだろう」みたいな答えをしてしまった気がします。「すでに解決策は用意している。気にしないで欲しい」くらい適当な嘘をさらりと言えるくらいになりたいものですが、こればかりは場数を踏むしか無いのでしょうか。しかし、プレゼンにかける時間や質疑応答などはやり切った感がありました。

ジャッジ

全ての発表が終わったら、ジャッジの方は一度別室に移動して順位づけを行います。この間、ファシリテーターのリーさんやメンターの方から総評をいただきました。結構自分の中では「これは優勝できるんじゃないか」という手応えがありましたが、残念ながら優勝は「先行+」をプレゼンしたチームに決まりました。

しかし不思議と悔いはありません。なぜならばプレゼンが始まる前の時点で、優勝よりももっと価値のあるものを手に入れていたからです。それは「自信」です。例えジャッジの人に選んでもらえなくても、自分はこの案はうまく行くと信じられるし、そこにたどり着くまでのプロセスにも信憑性はある。そう思えたのです。つまり誰がなんと言おうとも、この案は成功するはずだと自分を信じる事ができたのです。

これが今回のStartup Weekendでの大きな大きな収穫だったと思います。

もちろん、この自信が裏返ると「思い込み」という失敗につながるとは理解していますが、それでも思い込みかどうかは失敗してみないとわからないわけです。始めるのが先か失敗するのが先か、これは起業における永遠のパラドックスでしょう。

パーティ

プレゼンが終われば、お楽しみのパーティです。MyCafe錦通店には、なんとバーが設置されていて、会場内でパーティが始まりました。会場では、プレゼンを戦った他のチームの人たち、ずっとチームを導いてくれたメンターの方々、そして誠実にジャッジメントををしていただいたジャッジのみなさま。全ての人と話をする事ができます。これも、参加した人たちだけの報酬です。自分としては、普段なら話す機会も作れないような方々とお話しをしたり、名刺を交換したり、facebookで友だちになったりなど、新しい人脈を作る事ができました。中には、今の企画を実現する場所がなかったら、企画ごとウチにきてもいいよ、などと言ってくれる方もいました。大分飲まれているはずなので、お言葉だけありがたく頂いておきつつ、それも悪くないなと思う自分も多分酔っていたのでしょう。

こうして54時間の長い長いイベントは、ついにフィナーレを迎えたのでした。

後日談

次の日、眠い目をこすりながら会社で働く自分。手元には、昨日のプレゼン資料が印刷してあります。幸いにも現在はゲーム会社で働いているので、イベントが終わった後もインタビューをする事ができるのです。何人かの人にプレゼン資料を説明したところ

  • いいビジネスモデルだね。あとはゲームかな
  • 着眼点がとてもおもしろい。あとはゲームかな
  • この場にどれだけ人が集まるか見てみたい。あとはゲームかな

いうもっともな評価をいただいています。

ファシリテーターのリーさん曰く「イベントの最終日にもっとも高まったエネルギーは、5日間で0に戻ってしまう。それまでに事を起こせるかどうかが鍵だ」という話を聞いています。イベントに参加するまでは、ちょっと起業のプロセスについて勉強するかという軽い気持ちでしたが、イベント参加後にはリアルに仕事の中で形にしたいという思いを持つようなエネルギーをもらいました。どれだけの人がこのブログを読んでくれるかは分かりませんが

Startup Weekendは、起業家の卵を孵化させるすばらしいイベントであること

が伝わればいいなと思いつつ、体験記を終わりたいと思います。

 

最後になりますが、Startup Weekendを開催してくれたファシリテーターのリーさん、参加者のよき話し相手となってくれたメンターやコーチの皆さん、誠実なジャッジメントをしてくれたジャッジのみなさん、陰ながら参加者を支えてくれたオーガナイザーのみなさん、MyCafeのスタッフのみなさん、スポンサーとなってくれたワンダープラネット株式会社のみなさま、その他Startup Weekendを支援してくれた全ての関係者の方にお礼を言いたいと思います。ご恩は起業家になることで返したいと思います!

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Startup Weekend For Games Nagoyaに参加してきた(三日目)

Startup Weekend For Games Nagoya 三日目

これは、Startup Weekend For Games Nagoyaに参加した三日目に関するブログです。前日までの内容は以下のURLを御覧ください。

同じ過ちを繰り返さない

前日は、ココイチカレーを食べた後に、さらに巨大おにぎりを二つ食べるという過ちをおかしました。三日目は迷ったあげく、何も食べずに会場へ。三日目の軽食は、subwayのオシャレなサンドイッチでした。腹六分目くらいでしたが、それでも美味しかったです。昨日と今日の朝ご飯が入れ替わっていれば完璧なのに、と思ったのは内緒です。

予想はいい意味で裏切られるものである

前日のクリエイター向けのアンケートは、投稿した後にメンターの方やオーガナイザーの方、そして同じチームの方に広めてもらいました。しかしこんな口コミでまともな結果が集まるのかという点で、あまり期待はしていませんでした。しかしふたを開けてみると、何と8名の方(最終的には10名の方)がアンケートに答えてくれていました(アンケート結果へのリンク)。たった一晩で口コミでこれだけの回答が集まる事に予想を裏切られましたが、さらにその内容にも予想を裏切られました。

実は初日のピッチで生き残れる事を期待して、予め用意していた案がありました。そこでは、「麻雀をうつ女の子を応援する系」ゲームにキャラクターを登場させると考えていたのです。しかし、このアンケートの中では、恣意的に質問項目の先頭に麻雀を持ってきたにもかかわらず、見事な0回答が。ユーザーの声の重要性に、あらためて気づかされました。

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アンケートの作り方

今回学んだものの一つに、アンケートの作り方があります。それは、誘導尋問にならないような設問を用意するという事です。ファシリテーターのリーさんの言葉を借りれば「『このサービスを使いたいか』という問いかけには、ほとんどの人が『あれば使いたいね』という質問しか返さない」という問題があるので、その過ちをおかさないような質問項目を考えるということです。基本的には思いでは無く事実を聞くこと。そしてそのための前提条件は、敢えて相手に伝えないということです。次の二つのアンケートは、どちらも今回作成したアンケートです。

最初のアンケートは、『私たちはアナログゲームを自作するサービスを作ろうと思っているが、使いたいか?』から始まっている、典型的な駄目パターン。二つ目は、『絵師さんは、いつもどのように絵を描いているのか』という事実を問い、作ろうとするサービスそのものは説明していない、多少ましなパターンです。

PCを捨てよ、ポートメッセ名古屋に出かけよう〜ユーザーインタビュー

今回の起業では、絵を提供してくれるクリエイターの他に、ゲームを遊んでくれるプレイヤーも獲得する必要があります。プレイヤー候補の人にもアンケートを取ろうかと思っていた矢先に、オーガナイザーであるマツモトさんから、次のようなありがたーい助言を頂きました。

写真: マツモトさん近影。#swnagoya

マツモト:「ポートメッセなごや艦これイベントやってるから、『進捗、どうですか』Tシャツを買ってきてください。ついでに、見込みユーザーにインタビューできるかもよ」 

というわけで、部屋を出てリアルにユーザーインタビューを行う機会を得る事ができました。

あおなみ線を始発から終点まで移動し、傘が飛ばされそうな雨風にも負けずポートメッセなごやに到着すると、そこには艦これファンに加え同時開催していた東方ファンの行列が。「こ、これが即売会か...」。

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雨に煙る先には、つづら折りに入場者が。思わず「これだけユーザーを確保できれば、スタートアップは成功するんじゃないか」という、極めて当たり前で、かつそれができれば苦労はしない考えが頭をよぎります。

会場に入ると、まずはマツモトさんの紹介してくれた方のブースに移動します。とてもフレンドリーな方で、突然の来訪にも関わらず丁寧に対応していただきました。まずは『進捗、どうですか』Tシャツを購入し、ついでに自分もオリジナルTシャツを購入。ちなみにスタートアップ的には、アンケートに協力してくれた人に謝礼をするのはNGらしいのですが、アンケート協力後の思いつきなので、まあいいとします。そしてここからが、全く見ず知らずの人にアンケートをお願いするという、かなりハードルの高いゲームの始まりです。

多分緊張すると思うので、事前に質問内容は決めておきました。

  • 本やグッズを買う動機は何か(内容を見て買う/作家を見て買う)
  • 一回のイベントで幾らくらい使うのか
  • ゲームで課金をした事があるか

初めの質問で、「クリエイターにお金を払う」という動機が存在するか。残りの質問でゲーム内でいくらくらい課金してもらえるかについて、方向性が見えてくるのではという仮説です。一人では勇気が足りない状況でも、3人いれば何とかなる。まず最初に当初のハスラーの人に切り込んでもらい、自分が質問をして、もう一人のデザイナーが記録をしながら更に踏み込んだ質問をする。スリーマンセル方式でインタビューを行います。

ここでの気づきは二点。まず一つは、どこの誰かもわからないわれわれの依頼に、ほとんどの方がインタビューに協力してくれた事。ほぼ100%だったと思います。これには本当にびっくりしました。もう一つは、自分以外のメンバーがインタビューに協力してくれた人たちに、さらに突っ込んだ質問をしたこと。自分は正直「初対面の人にそこまで聞くか」みたいな思いで複雑な感情だったのです。しかし後でリーンスタートアップのインタビューについて読んでみると、協力的なユーザーには単に質問をするだけではなくより突っ込んだこと(なぜ、そう思うのか)について聞く事で、より協力な事実を入手する事ができるし、そもそもファーストユーザーになってくれる確率も高い、むしろなってもらうべき、といったようなことが書かれていました。その点二人の行動は理にかなっているし、それでも自分はそこまで踏み込んで質問はできないだろうなという限界を感じたりしました。

MVPの準備

短い時間でしたが、証拠はそろいました。あとはジャッジの方の心に響くプレゼンを作るのみです。残り時間は3時間。この時間内にMVP(minimum viable product)を作らなければなりません。当初のもくろみでは、ゲームのイメージを作りWeb上で事前登録サイトを用意する。そしてそこに何人かの人が登録するところまでをMVPとしたかったのですが、いかんせん時間がない。そもそもどんなゲームを作るのかも決まっていない。そこで、少しひきは弱いですがプレゼンの中でゲームのイメージを用意して、アンケートとインタビューの結果からこのゲームに人は集まるはず、というストーリーをMVPにしようと決めました。

デザイナーの方が所用でこの時間帯に抜けなければならず、二人で手分けして資料を作る事になります。自分は、今回の訴求ポイントである新しいビジネスモデルの図を。もう一人の方にはゲームの紹介を作る事にしました。いろいろ意見交換を行いながら、1時間ほどで最初のプレゼン資料を作り上げました。

メンターリハーサル、そしてふっきれる自分

写真: リハーサルを見守るメンター一同。#swnagoya

神がかったプレゼンで他の追随をゆるさなかったスティーブ・ジョブズ氏でさえも、プレゼン専門のコンサルタントの前で、何度もリハーサルを繰り返したと聞きます。残された短い時間の中ですが、プレゼンのリハーサル機会があるのはとても有意義です。そしてStartup Weekendの売りは、何と言ってもリハーサルのレビューをしてくれるこの豪華なメンターの顔ぶれ。いずれ劣らぬゲーム業界の名だたる会社の代表や部長を務める方々です。これらの方にプレゼンを聞いてもらえるだけでも、参加費の元は十分に取れるという物です。

『時間がない』が言い訳なのは重々承知ですが、α版を作り、意見をもらい、ブラッシュアップさせていくというオーガナイザーからの意見で、まずは字だけでプレゼンの構成を作りました。リハーサルの結果、案の定メンターの方々から資料全体に対して「いまいち、どんなゲームが作りたいのかが見えてこない」という意見を頂きます。しかし、たった一枚のこのスライドに,メンターの方々の意見が集中しました。

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自分としては、ゲームは飾りでビジネスモデルこそが伝えたい事だったので、このスライドの重みは、全体の1%くらいのつもりでした。しかしメンターにレビューしてもらい、このスライドこそがプレゼンで全体の80%でもいいくらい重要な物であることに気づかされました。プレゼン資料を持ち帰り、さらにオーガナイザーのマツモトさんの非常に無責任かつ有益な助言を元に、二人でリビルドしたプレゼン資料の表紙がこちらになります。

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『間違いない。これは、下手をすると自分の黒歴史になるかもしれない』

 そんな深夜のラブレターのノリで書いたこのプレゼン資料は、メンターの方に驚きをもって受け入れてもらえました。さらに細かい指摘を修正に入れて、いざプレゼンです!

 

*1:内容が英語なのは、アナログゲームのメッカであるヨーロッパ展開を考えていたため

Startup Weekend For Games Nagoyaに参加してきた(二日目)

Startup Weekend For Games Nagoya 二日目

これは、Startup Weekend For Games Nagoyaに参加した二日目に関するブログです。初日の内容は以下のURLを御覧ください。

http://nakaken0629.hatenablog.com/entry/2014/03/30/234354

朝から軽い失敗

二日目の朝は、非常に寝不足な状態から始まりました。あんまり眠かったので、無理にでも頭をリフレッシュしようと思い、CoCo壱番屋で朝からカレーを食すことに。確かあのイチローも、毎朝カレーを食べていると聞いたこともあります。すっかり満腹になって会場に到着すると、なんと軽食と聞いていた朝ごはんに巨大なおにぎりが二個も。参加費に食事も含まれているので、残すのはもったいないと思い、頑張って食べました。美味しかったです。

アナログゲームを知る

写真: ゲーム回らしい様子。#swnagoya

二日目の朝は、メンバーの一人がとあるアナログゲームを持ってきて、プレイすることに。このゲーム、誰かがやっているのを見たことはあったけれども、実際にプレイするのは初めて。二回ほどプレイする中で、ゲームそのものの面白さ、独自にカードを用意することでゲームを変化させることができることなどを理解することができました。確かに、これならばハスラーの人の考えているビジネスを実現することができそうだとも、思えました。しかしそれと同時に、儲からないんじゃないのだろうかという不安も残り、それをどのように解決するかを話していければと思っていました。

ビジネスモデルのキャンバス

写真: キャンバス。#swnagoya

Startup Weekendでは、自分たちの企業に必要な要素を綺麗にまとめたキャンバスが用意されています。このテンプレートを埋めることで、ビジネスに必要なことは何かを、メンバー全員が同じレベルで共有ができるようになります。ただし、このテンプレートを埋めただけでは、ビジネスモデルが完成したとはいえないこと。いや、むしろこのキャンバスを埋めることを目的とすると、かえって求めるべきビジネスモデルから遠ざかってしまうかもしれないという説明もあったので、注意が必要な資料だと感じました。

このテンプレートを使って自分がハスラーの人と確認を取っていたことは、次のことがありました。

正直、大分熱が入った話し合いになりました。1時間以上はかかっていたように思います。つまりそれだけ、「アナログゲームビジネス」といっても、参加者同士の認識がずれていたのです。例えば、自分は当然ウェブ上でサービスの注文を受け付けると思っていたのですが、ハスラーの方は実店舗を構えてコアなファンに実際に集まってもらうことをイメージしていたなどといったずれです。一つずつずれを直しながら、ビジネスの形を明確にしていく。如何に自分の考えを他人に正しく理解してもらい、そして共感してもらうか。今回は理解する側に回りましたが、その重要性を理解することができました。

メンター(あるいはコーチ)

テンプレートを使った話し合いの結果、ビジネスモデルのキャンバスで用意されている次の項目について検討が終了しました。

ここで登場するStartup Weekendのフレームワークはメンターです。メンターとは、Startupの経験豊かな方で、参加者が作ったビジネスモデルで起業するためには何が不足しているか、何を考えなければいけないか。それについてじっくりアドバイスをしてくれる役割の方です。Startup Weekendに参加しようと思う参加者は、Startupについて学びたいと思っている人なので、裏を返せばどのようにStartupを進めて行けばいいのかよくわからない人が参加しているわけです。メンターの方はチームに対して答えの提示は行いません。代わりに質問をします。起業時に何を準備するのか? 起業時は何人で仕事をするのか、そして給料は幾らにするのか? 自社で物を作れないのであれば、どこにいくらで作ってもらうのか? などなど。質問を受けるたびに、起業に必要なことがどれほどたくさんあるのかに気づきます。質問に対して、チーム内でじっくり考えながら答えを出していきます。

そして窓の外が少しずつ暗くなる頃、ようやく自分たちの考えたビジネスモデルを、起業案として形にする事ができました。そして、そのときに初めて「このビジネスモデルは持続できない」というイメージが共有されたのです!

コーヒーブレイク

自分たちが進んできた道が急に行き止まりになってしまい、チームは途方に暮れます。そこで自分は二つの提案をしました。一つ目は「外に出よう」です。

Startupには、ピボットという方針転換をするためのテンプレートがあります。ただしこのピボットを行うためには、様々な検証結果を元にする必要があます。今回は机上での計画段階で詰まったので、ピボットとはことなります。しかしピボットを決定した後の進め方(現在の案を捨て本質を見直す、ホワイトボードの前から離れる、学習した事を振り返る)などは、実践できると思ったからです。

Startup Weekendのために無料で場所を提供してくれているMyCafe錦通店のすぐ北側に、ちょっと広めの池のある公園があります。池のほとりに小さな椅子が4つあり、チームメンバーはそこに座りました。そして二つ目の提案、すなわち初日のピッチで落選した自分の案を代わりに勧める事です。実質二日間しか無い準備期間が半分過ぎたところでやり直しを提案するのは、最初のピッチ以上に力がこもります。でも、テーマは変わるが解決したい事は変わらない事、収益もきちんとあげられる事、ゆくゆくはアナログゲームも取り込む事ができるかも知れないこと、などなどを少しずつ花がつき始めているさくらの木の下で話し、そしてチームのメンバーに理解してもらうよう務めました。

もう一度会場に戻り、さらにメンターに対して同じ説明を熱を込めて繰り返します。その結果、自分の出した案で再出発しようという事で、チームは決定をしました。これからあらためて再スタートを切る事になりました。

回想

なぜこのタイミングで再スタートとなったのか。このブログを書きながら思い起こすと、おそらくStartupで大切な「ユーザーの声を聞く」というプロセスを踏めなかった事が原因なのではと思います。通常ビジネスモデルを考える時は、ビジネスプランを立てる→市場分析をする→実際の声を聞く、このようなプロセスで進めがちです。しかし今回のStartup Weekendで紹介された資料では、まず声を聞く→市場を見る→ビジネスプランを企画する、と逆向きで発想する事が説かれていました。この順序にする事で、未知の領域で成功できそうなビジネスモデルをすばやく構築できる。この順番を間違ってしまったので、ホワイトボードの前で何時間も費やしてしまったのではというのが、反省でもあり収穫でもあります。

休息

新しいプランでは、絵描きの人とゲームプレイヤーをゲームで結ぶビジネスができないかという物です。そこで先ほどの反省をふまえ、クリエイターの人に声を聞く事にしました。アンケートを作成したら、ファシリテーターのリーさん、メンターの方々にアンケートの内容を添削してもらい、そしてWeb上で公開して二日目を終了しました。どれほどの声が集まるかは、翌日目が覚めてからのお楽しみです。

 

Startup Weekend For Games Nagoyaに参加してきた(初日)

Startup Weekend For Games Nagoyaに参加してきました。非常にハードなイベントで、でも成長が実感できた充実したイベントでした。先ほど帰ってきたばかりなのですが、興奮の覚めないうちにブログでこの三日間を振り返ってみたいと思います。

Startup Weekendとは?

Startup Weekendとは、「Startup」という名前が示すように、起業がテーマのイベントです。いかにして仲間を募り、いかにして仮説の検証を行い、そしていかにして審査員の心を動かすプレゼンテーションを行うか。これらの全てをたったの54時間で行う、極めてハードなイベントです。今回のイベントは「ゲーム」がテーマです。したがって、どのようなゲームを作り、そのゲームでどのように会社を立ち上げるのか、そればかりを追求してきました。

ピッチ

写真: ピッチに含むべき要素。#swnagoya

Startup Weekendのイベントは、全世界中で行われています。そして何度も何度も行われた経験を元に、イベントを通じて参加者を起業家として成長させてくれるフレームワークが用意されています。フレームワークについては、このブログの中で順に説明していきます。

はじめのフレームワークは「ピッチ」です。ピッチとは初日に行われるもので、自分の持っている起業案をプレゼンして仲間を集める行為です。しかし、いきなり自分の案を発表しよう! と言われても普段プレゼン慣れしていない人にはハードルが高いです(そもそもそれを学ぶためにイベントに参加しているわけで)。そのため、まずはじめにわざとデタラメなテーマを渡され、それについて即興で起業案を考えます。起業案に必要な要素は、運営者から提示されます。これにより、形としては要所を押さえた起業案をピッチすることができます。

ちなみに、自分の所属するチームが手に入れたテーマは「忍者・エビフライ」。この2つから、ターゲット顧客、ビジネスの構造、マネタイズ手法を組み入れます。次のようなプランを考えました。

ninja-ebifly.comは、海外在住の忍者に興味のある外国人向けに、格安で日本に来てもらって忍者文化を体験してもらえるサービスを提供するビジネスです。

われわれは、彼ら向けに忍者装束で接客するえびふらい専門のレストランを経営します。昼間はこの店でワーキングホリデーを体験して、旅費の一部を稼ぎます。

夜は、近隣の伊賀から忍者学校に所属する講師を招き、忍者文化についてレクチャーしてもらいます。

最終日には、忍者文化の理解度を図るための試練に挑戦してもらい、その成果に応じて下忍、中忍、上忍の認定がもらえます。

マネタイズプランは、海外からの旅行客を増やしたい旅行代理店と契約してツアー成約に対する報酬、ならびに役所から観光客誘致のプロジェクトに対する支援をもらいます。このビジネスで年間1万人の送客を目指します。 

ちなみにこのタイミングでのピッチには優劣はつきません。突拍子もない起業案をみんなで笑い合うことで、場を暖めます。暖まったあとは、この三日間の活動を決める本物のピッチを行います。ピッチをするのは「ハスラー」と呼ばれる役割で参加したメンバーです。ハスラーは、わくわくするプレゼンで、「ハッカー」と「デザイナー」を自分のプランを実現してもらうために呼び込みます。

今回はあえてハスラーで参加してピッチをしたのですが、残念ながら自分の起業案は僅差で他の起業案に負けてしまいました。負けたハスラーは、他のハスラーの企画を選び、そのプランの実現をサポートして優勝を目指します。自分の場合は、ビジネス手段は全く違ったのですが、ターゲット顧客や解決したい課題が比較的近いハスラーを見つけたので、彼の案に合流することにしました。

アンケート

次のフレームワークは「アンケート」です。Startup Weekendでは、理論や統計ではなく、計測した事実を非常に重視します。つまり「理論的には儲かるモデル」や「なんとか統計会社の公開している市場規模に沿ったモデル」には、意味が無いと説いています。なぜならばStartupでは、いままでになかった新しいものを生み出すことで成功することが多く、それには過去の実績は殆ど役に立たないという理屈のようです。

参加したハスラーの案は「アナログゲーム、自作」がテーマの起業案でした。このテーマでどのようなビジネスができるのか、会場退室後も近くのマックに入店して話し合いました。しかしアナログゲームと言っても範囲が広く、対象を絞り込むまでには至りません。そこで、実際にどのようなゲームで遊んでいるのかを調べようということになり、アンケートを作成しました。予め断っておくと、このアンケートはStartupとしてはひどい出来のアンケートで、回答が0件なのですが今となってはホッとしています。

このアンケートの結果の確認と、メンバーの一人が推薦するアナログゲームについて調べることを二日目の最初の作業とすることを確認して、初日は解散となりました。