愛と力 at システムインテグレーション

「愛なき力は暴力なり、力なき愛は無力なり」

これは昔通っていた大学で、空手部が出していた新入生勧誘用の立て看板に書かれていたキャッチコピーだ。別にこれを見て空手部に入ろうと思った訳ではないけど、なぜか20年近く経った今でも覚えているのは、何かしら真理があるからなのだろうか?

そして、これは今の自分の生業であるシステムインテグレーションにも成り立つんじゃないか、いやむしろ成り立っている最中なんじゃないかと、風呂の中で思い立った。

「愛なき力」っていうのは、最新技術ばかりに目がいってしまい、その技術がお客さんの仕事に役立つかどうかって言うお客さんへの愛が欠けている状態。ついでに言うと、そのいつまでメインストリームにいるのかわからない技術を使いたいだけ使って、あとでメンテナンスする人への愛も欠けている状態もある。

「力なき愛」っていうのは、単純にスキル不足の人。でもお客さんへの愛にはあふれているから、バラ色の夢物語を自分ではできないのに話しちゃう。お客さんもその気になってGoしちゃうけど技術がないので行き詰まり、結局最後には自分も相手も傷つける事になってみんな不幸になってしまう。

自分はどちらかというと「愛なき力」傾向があるけれども、それでも「技術よりも人間性が大事」だとか「コミュニケーションスキルが大切」などとのたまう人たちには「力なき愛」を感じる事が多々ある。そういえば星新一のショートショートで、地球に不時着した高度な文明を持つ宇宙人が出てくる話があった。人柄のいいその宇宙人は一躍地球人の人気者になったけれども、彼自身自分が乗っていたUFOについて何の知識も持っていなかったため、結局顧みられる事がなくなってしまったというオチの話だったと思う。愛だけでなく力も「同じくらい」重視される業界になってもらわなければ、まあ先はないんじゃないかと思う今日この頃である。