Startup Weekend For Games Nagoyaに参加してきた(三日目)

Startup Weekend For Games Nagoya 三日目

これは、Startup Weekend For Games Nagoyaに参加した三日目に関するブログです。前日までの内容は以下のURLを御覧ください。

同じ過ちを繰り返さない

前日は、ココイチカレーを食べた後に、さらに巨大おにぎりを二つ食べるという過ちをおかしました。三日目は迷ったあげく、何も食べずに会場へ。三日目の軽食は、subwayのオシャレなサンドイッチでした。腹六分目くらいでしたが、それでも美味しかったです。昨日と今日の朝ご飯が入れ替わっていれば完璧なのに、と思ったのは内緒です。

予想はいい意味で裏切られるものである

前日のクリエイター向けのアンケートは、投稿した後にメンターの方やオーガナイザーの方、そして同じチームの方に広めてもらいました。しかしこんな口コミでまともな結果が集まるのかという点で、あまり期待はしていませんでした。しかしふたを開けてみると、何と8名の方(最終的には10名の方)がアンケートに答えてくれていました(アンケート結果へのリンク)。たった一晩で口コミでこれだけの回答が集まる事に予想を裏切られましたが、さらにその内容にも予想を裏切られました。

実は初日のピッチで生き残れる事を期待して、予め用意していた案がありました。そこでは、「麻雀をうつ女の子を応援する系」ゲームにキャラクターを登場させると考えていたのです。しかし、このアンケートの中では、恣意的に質問項目の先頭に麻雀を持ってきたにもかかわらず、見事な0回答が。ユーザーの声の重要性に、あらためて気づかされました。

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アンケートの作り方

今回学んだものの一つに、アンケートの作り方があります。それは、誘導尋問にならないような設問を用意するという事です。ファシリテーターのリーさんの言葉を借りれば「『このサービスを使いたいか』という問いかけには、ほとんどの人が『あれば使いたいね』という質問しか返さない」という問題があるので、その過ちをおかさないような質問項目を考えるということです。基本的には思いでは無く事実を聞くこと。そしてそのための前提条件は、敢えて相手に伝えないということです。次の二つのアンケートは、どちらも今回作成したアンケートです。

最初のアンケートは、『私たちはアナログゲームを自作するサービスを作ろうと思っているが、使いたいか?』から始まっている、典型的な駄目パターン。二つ目は、『絵師さんは、いつもどのように絵を描いているのか』という事実を問い、作ろうとするサービスそのものは説明していない、多少ましなパターンです。

PCを捨てよ、ポートメッセ名古屋に出かけよう〜ユーザーインタビュー

今回の起業では、絵を提供してくれるクリエイターの他に、ゲームを遊んでくれるプレイヤーも獲得する必要があります。プレイヤー候補の人にもアンケートを取ろうかと思っていた矢先に、オーガナイザーであるマツモトさんから、次のようなありがたーい助言を頂きました。

写真: マツモトさん近影。#swnagoya

マツモト:「ポートメッセなごや艦これイベントやってるから、『進捗、どうですか』Tシャツを買ってきてください。ついでに、見込みユーザーにインタビューできるかもよ」 

というわけで、部屋を出てリアルにユーザーインタビューを行う機会を得る事ができました。

あおなみ線を始発から終点まで移動し、傘が飛ばされそうな雨風にも負けずポートメッセなごやに到着すると、そこには艦これファンに加え同時開催していた東方ファンの行列が。「こ、これが即売会か...」。

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雨に煙る先には、つづら折りに入場者が。思わず「これだけユーザーを確保できれば、スタートアップは成功するんじゃないか」という、極めて当たり前で、かつそれができれば苦労はしない考えが頭をよぎります。

会場に入ると、まずはマツモトさんの紹介してくれた方のブースに移動します。とてもフレンドリーな方で、突然の来訪にも関わらず丁寧に対応していただきました。まずは『進捗、どうですか』Tシャツを購入し、ついでに自分もオリジナルTシャツを購入。ちなみにスタートアップ的には、アンケートに協力してくれた人に謝礼をするのはNGらしいのですが、アンケート協力後の思いつきなので、まあいいとします。そしてここからが、全く見ず知らずの人にアンケートをお願いするという、かなりハードルの高いゲームの始まりです。

多分緊張すると思うので、事前に質問内容は決めておきました。

  • 本やグッズを買う動機は何か(内容を見て買う/作家を見て買う)
  • 一回のイベントで幾らくらい使うのか
  • ゲームで課金をした事があるか

初めの質問で、「クリエイターにお金を払う」という動機が存在するか。残りの質問でゲーム内でいくらくらい課金してもらえるかについて、方向性が見えてくるのではという仮説です。一人では勇気が足りない状況でも、3人いれば何とかなる。まず最初に当初のハスラーの人に切り込んでもらい、自分が質問をして、もう一人のデザイナーが記録をしながら更に踏み込んだ質問をする。スリーマンセル方式でインタビューを行います。

ここでの気づきは二点。まず一つは、どこの誰かもわからないわれわれの依頼に、ほとんどの方がインタビューに協力してくれた事。ほぼ100%だったと思います。これには本当にびっくりしました。もう一つは、自分以外のメンバーがインタビューに協力してくれた人たちに、さらに突っ込んだ質問をしたこと。自分は正直「初対面の人にそこまで聞くか」みたいな思いで複雑な感情だったのです。しかし後でリーンスタートアップのインタビューについて読んでみると、協力的なユーザーには単に質問をするだけではなくより突っ込んだこと(なぜ、そう思うのか)について聞く事で、より協力な事実を入手する事ができるし、そもそもファーストユーザーになってくれる確率も高い、むしろなってもらうべき、といったようなことが書かれていました。その点二人の行動は理にかなっているし、それでも自分はそこまで踏み込んで質問はできないだろうなという限界を感じたりしました。

MVPの準備

短い時間でしたが、証拠はそろいました。あとはジャッジの方の心に響くプレゼンを作るのみです。残り時間は3時間。この時間内にMVP(minimum viable product)を作らなければなりません。当初のもくろみでは、ゲームのイメージを作りWeb上で事前登録サイトを用意する。そしてそこに何人かの人が登録するところまでをMVPとしたかったのですが、いかんせん時間がない。そもそもどんなゲームを作るのかも決まっていない。そこで、少しひきは弱いですがプレゼンの中でゲームのイメージを用意して、アンケートとインタビューの結果からこのゲームに人は集まるはず、というストーリーをMVPにしようと決めました。

デザイナーの方が所用でこの時間帯に抜けなければならず、二人で手分けして資料を作る事になります。自分は、今回の訴求ポイントである新しいビジネスモデルの図を。もう一人の方にはゲームの紹介を作る事にしました。いろいろ意見交換を行いながら、1時間ほどで最初のプレゼン資料を作り上げました。

メンターリハーサル、そしてふっきれる自分

写真: リハーサルを見守るメンター一同。#swnagoya

神がかったプレゼンで他の追随をゆるさなかったスティーブ・ジョブズ氏でさえも、プレゼン専門のコンサルタントの前で、何度もリハーサルを繰り返したと聞きます。残された短い時間の中ですが、プレゼンのリハーサル機会があるのはとても有意義です。そしてStartup Weekendの売りは、何と言ってもリハーサルのレビューをしてくれるこの豪華なメンターの顔ぶれ。いずれ劣らぬゲーム業界の名だたる会社の代表や部長を務める方々です。これらの方にプレゼンを聞いてもらえるだけでも、参加費の元は十分に取れるという物です。

『時間がない』が言い訳なのは重々承知ですが、α版を作り、意見をもらい、ブラッシュアップさせていくというオーガナイザーからの意見で、まずは字だけでプレゼンの構成を作りました。リハーサルの結果、案の定メンターの方々から資料全体に対して「いまいち、どんなゲームが作りたいのかが見えてこない」という意見を頂きます。しかし、たった一枚のこのスライドに,メンターの方々の意見が集中しました。

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自分としては、ゲームは飾りでビジネスモデルこそが伝えたい事だったので、このスライドの重みは、全体の1%くらいのつもりでした。しかしメンターにレビューしてもらい、このスライドこそがプレゼンで全体の80%でもいいくらい重要な物であることに気づかされました。プレゼン資料を持ち帰り、さらにオーガナイザーのマツモトさんの非常に無責任かつ有益な助言を元に、二人でリビルドしたプレゼン資料の表紙がこちらになります。

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『間違いない。これは、下手をすると自分の黒歴史になるかもしれない』

 そんな深夜のラブレターのノリで書いたこのプレゼン資料は、メンターの方に驚きをもって受け入れてもらえました。さらに細かい指摘を修正に入れて、いざプレゼンです!

 

*1:内容が英語なのは、アナログゲームのメッカであるヨーロッパ展開を考えていたため